二言目には、すぐ
「たわけ」
 いつもの説教と言うか、何と言うか。
 お決まりの文句になりつつ有る気がするそれを、また浴びる。
 むしろたわけはお前じゃねえか、と、反論したい気持ちをぐっと堪えて、ひとまず聞く態勢。
 それもまた面白くなさそうな顔をして、ますます仏頂面に磨きをかけているのも、多分自分じゃ気付いてねぇンだろう、こいつは。
「人の話を聞いているのかね、君は」
「だから、聞く態勢作ってるんじゃねえか。ほら、聞いてやるから言えっての」
 キスの後に結局、なだれ込んで挙句床に散らばった衣服だとか、散々の情交の後だとか、肌に残る汗の名残と、精の混じった匂いだとか。
 そういったものを色濃く纏わせて、俺たちは床に寝っ転がっていた。
 その状況に頭を抱えて、眉間に深い皺まで刻んでいるこいつの口から出る、悪態の意味すら成さなくなり始めた言葉。

それに密かな可愛気すら感じ始めているのはそれこそ、座まで持って返るレベルの秘密だ。



【5-6】二に関する5つのお題(その1)/配布元:F お題配布所 F
弓さん槍さんバカップル風味短文お題・その2。
新春特別と言う訳でもないのですが、むやみにいちゃついててすみません…。

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