10:10/労働
「……ぅあー、だりぃ…」
 ぐたーっと、声がだれる。
 半端な時間のせいで客足の途絶えがちな店内を、欠伸を噛み殺しながら見詰めるランサー。
 モーニング目当ての客も、この時間では望むべくも無く。かと言ってランチにはまだ早い。
 あらゆる意味で中途半端な時間帯の中で、暇ばかりを持て余す結果となっていた。
 
 オーナーと言えば何やら、新しい茶葉の買い付けの相談だとかで、何処かの営業の人間と話をするべく外出したままだ。
 本来であればランチの時間も共に勤務するはずのアルバイトも、諸事情により帰ってしまっているわけで。
 それが幸か不幸か、槍兵を『一人でお留守番』的ポジションに追い遣ってしまっていた。
「……まぁ、良いんだがよ……。どうせ後一時間ちょいもすりゃあ、問答無用で賑わうだろうし…」
 ぽっかりと。唐突にやってきた空白めいた時間。
 口に手を宛がう事も無く大欠伸を、あまつさえ伸びまでして無人の店内を頬杖ついて眺めるギャルソンが、一人。
 ゆったりと穏やかに流れるBGMに聴き入って暫し。暇だな、と呟きを漏らす声はけれど、何処か幸せそうでもあった。



【1-3】時間に関する5つのお題/配布元:F お題配布所 F
拍手のお礼画面に置いた、第2弾企画です。槍さんのとある一日を追っかけてみました。

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