■ ささやかに ■

 頼んでもいないのに勝手にやってきては、客用のソファ(どうも気に入っているらしい)で寛ぎ、挙句の果てに腹減った、だの、コレでなんか作ってくれ、だのと、釣果を片手に煩く要求してくるこの男は一体何者なのか。
 そしてその毎度の襲撃に慣れてきてしまった自分も、非常にどうかと思う。
 いつだったか、お決まりのようにくっついてくる『腹減った』の言葉に、それはないだろう、と口にした時も、『そういう気分なんだよ』で一蹴されてしまい、それから幾度諌めた所で、覚えもしない空腹を訴えてくる調子は相変わらずだ。

「なー、アーチャー腹減ったー」
「……嘘をつくと舌を抜かれるぞ」
「誰に」
「私に」

 うわ怖ー。だのと笑いながら、ソファで踏ん反りかえって、無駄に寛いだ風情の男の許へ歩く。
 身体の前後を入れ替えることもせず、背凭れに添って仰け反るようにしてこちらを見る怠惰な加減に、思わず溜息が漏れた。あまりの緩み加減に笑いまで誘われる。

「……ん、…」

 彼の右手が上がって、指先がふら、と揺れる。言葉少なく所作で手招く調子にも、随分慣れてしまったな、と遅い自覚に眉尻が下がった。
 顔を覗き込むようにして頭を抱きこむと、伸ばされた手が頭の上に落ち着いて、髪を乱される。
 止めんか、といったところで止める訳も無く、ますます髪を乱してくる、ある種子供じみた彼の性質はとうに理解していたので、口を挟むのはやめておいた。
 吐息が絡む距離、逆さまに見える緋色を収めた目許が撓む。なぁ、と甘えた声が鼓膜を震わせる。

「舌でも、抜きに来たのかよ」
「抜いて欲しいのかね? …そういう趣味があったとは、思わなかったが」
「あーのなー…、あほなこと言ってんじゃねえって……」

 笑み交じりの彼の物言いに、先に言い出したのは君だろう、口でも塞ぐか、と真剣な声を作ったが、それも保たず、語尾に笑う声が混じった。



弓槍成分上昇ついでに、せっかくだからライトにじゃれあう二人でも。
上から顔を覗き込んで、覆いかぶさってちゅーとかいいな、でもこの態勢だと弓っ子大変そうだ。

……と思って描いてから、いやさ、そろそろキスのふたつやみっつは描いてもいいんじゃないの、一応カプサイトなんだからもう少しさ、そういう成分上げてもいいんじゃないの自分…。と我に帰りました。いつまでたってもラブとかえろ成分があがらない。あがらないよ。

どーもこう、そのものより前後の絵面が好きらしい。こまったもんですね。
しかも遠坂さんちに無さそうなソファになっちゃって、ちょっと後悔。相変わらず詰めが甘い。
制作中、服を着せるのを素で忘れて(アイター)、線画統合しちゃってへこんだのもいい思い出です。欲望だだ漏れって奴ですk

2007/07/17up.
SAI/Photoshop7.0


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