12-墓地


いきをすって、はく。
めをひらいて、とじる。

時折咳き込むように胸を喘がせる彼が、口の端から血の泡を吐く。
四肢は射止めたから、彼に許される動きはその程度。


どうせ君は跡形も無く消え去ってしまうから。
せめてその瞬間は、私の膝の上で迎えるといい。

死ぬ前に膝を折ることを良しとしなかった君とて、
土に還る時はその身を横たえたのだろうに。

だったら死から解放され、在るべき所へ還る今この時ぐらい、
私に寄越してくれても良いじゃないか。


いいだろう?

わたしが、きみの墓地になるから。

ランサー。


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